104 「static修羅道」 Step09 解答例


Document.java

public class Document {
  // 書類のタイトル(インスタンスごとに異なる)
  private String title;

  // 書類のページ数(インスタンスごとに異なる)
  private int pages;

  // 全書類で共有される「合計ページ数」
  private static int totalPages = 0;

  // コンストラクタ:タイトルとページ数を受け取り、合計ページ数に加算
  public Document(String title, int pages) {
    this.title = title;
    this.pages = pages;

    // クラス全体の合計に加算
    totalPages += pages;
  }

  // 書類情報を出力(インスタンスの情報+クラスの統計情報)
  public void printInfo() {
    System.out.println(title + ": " + pages + "ページ(現在の合計: " + totalPages + ")");
  }
}

Main.java

public class Main {
  public static void main(String[] args) {
    Document d1 = new Document("書類A", 5);
    Document d2 = new Document("書類B", 3);
    Document d3 = new Document("書類C", 7);

    d1.printInfo();
    d2.printInfo();
    d3.printInfo();
  }
}

実行結果

書類A: 5ページ(現在の合計: 5)
書類B: 3ページ(現在の合計: 8)
書類C: 7ページ(現在の合計: 15)

解説

「個別の情報」と「全体の統計」を使い分ける

この問題の設計には、以下の2種類の情報が存在します:

  • pagesこの書類だけのページ数(インスタンス変数)
  • totalPagesすべての書類の合計ページ数(static変数)

それぞれの性質に合わせて、正しいスコープで変数を設計するのがポイントです。


static変数のふるまい

private static int totalPages = 0;

この変数はクラス全体で1つだけ存在し、new Document(...) するたびにページ数が加算されていきます。

つまり、全体の状態(統計情報)を記録する役割を担っているわけです。


インスタンスの役割とstaticの役割を設計で分離する

  • インスタンス変数:そのオブジェクトだけが持つ情報(ページ数、タイトルなど)
  • static変数:クラス全体で共有する情報(合計、IDカウンタ、設定など)

Javaでは、この「責任の切り分け」が static を設計に活かすポイントです。


まとめ

  • static 変数は「全体で共有される情報」の保持に適している
  • インスタンスごとの情報(title, pages)とは設計上の責務が異なる
  • totalPages のような統計的な情報は、クラス単位で管理するべき

104 ステップアップ問題 「static修羅道」


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